「【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!」という本を読んだ。

興味深いところをピックアップしておく。

世界人口増加率のグラフ (古代から2100年)。

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!
nilog: 世界人口増加率のグラフ (古代から2100年)。世界人口率は、1950-2012年は年1%以上だったが、21世紀末に向かって0%に戻る。 (2015-06-21)

世界1人当たりGDP増加率グラフ(太古から2100年)。

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!
nilog: 世界1人当たりGDP増加率グラフ(太古から2100年)。1950-2012年には2%を超えた。2012-2050年には2.5%を超え、その後1.5%以下に下がる。 (2015-06-21)

世界の資本分配のグラフ (1870-2100年)。

【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!
nilog: 世界の資本分配のグラフ (1870-2100年)。21世紀末までに、世界資本の半分をアジア諸国が所有するようになる。アジア諸国からアフリカへの投資フロー。 (2015-06-21)

  • ピケティに終始一貫しているのは、まずデータありきで、そこから世界的な傾向を読み解く姿勢。
  • GDP成長率=1人当たりGDP成長率+人口増加率
  • 人口転換。社会の近代化に伴って、人の出生数と死亡数のバランスが多産多死→多産少死→少産少死へと変化する。
  • ここ二十数年間、日本のGDP成長率は世界最低水準。2012年の世界GDP成長率は3.5%ぐらい。日本は2014年の時点で1%にも満たない。
  • アベノミクスの金融政策はインフレ目標2%での量的緩和策。アメリカ、イギリス、カナダ、ユーロで採用されている国際標準。
  • 公的債務 (国の借金) においては、インフレが解決策のひとつとなる。インフレが起こると公的債務の負担が軽くなる。
  • アメリカの動きに似ている日本の所得税。日本の所得税の最高税率は1949年の85%。日本で所得税が導入されたのは1887年。1986年まで70%台で、1987年に60%、1989年に50%、1999年に37%に引き下げ。それ以降上昇に転じて、2007年に40%、2015年に45%。
  • 資本所得 (または資本収益) とは、資本から得る所得のこと。労働ではなく、所有する資本から得る所得。
  • 富裕国では資本所得が上昇している。1975年以降、国民所得に占める資本所得の比率が増加している。
  • 資本収益率 (r) は、資本に占める資本所得の比率。
  • 資本収益率 (r) は常にGDP成長率 (g) に勝るため、放っておけば格差は拡大しつづける (r > g)
  • ピケティは、累進性の強い税率こそが格差縮小の鍵で、国際協調のもとすべての国で課税強化策を採用すべきと言っている。より多く稼ぐ者と、より多く資産を持つ (相続する) 者から、より多くの税をとり、社会に再分配すべきだ、という理想像。
  • 1789年よりも格差は大きかったにもかかわらず、1914年まで、フランスのエリート層が「フランス革命以降、人民は公平になった」という主張によって累進課税を拒みつづけた。
  • イギリス、アメリカでは、相続税の累進課税率も、急激に釣り上げられた後、急激に引き下げられてきた。所得税と同様、有事の要請に応じて、累進課税を強化している。
728ページにもおよぶ、歴史的な大作『21世紀の資本』。
ただ、本当に重要な21枚の図がわかれば、効率的かつ的確に読み解くことができる!

あの高橋洋一が解説する『21世紀の資本』とは?
いったい『21世紀の資本』のどこを読み、何を読み取ればいいのかが、わかる!

社会科学系の学者たちが書評などを通じて表した批評への、ピケティの返答集
(2014年12月時点日本未翻訳/要約)も掲載。

Amazon.co.jp: 【図解】ピケティ入門 たった21枚の図で『21世紀の資本』は読める!: 高橋 洋一: 本

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Posted by NI-Lab. (@nilab)