4作品とも読んだのは10年以上前。

ねじれた家

原題は『Crooked House』

有名なマザーグースの唄「ねじれた男」をモチーフにした推理小説。意外な犯人に、哀愁漂うエンディング。

ねじれた家に住む心のねじれた老人が毒殺された。根性の曲がった家族と巨額の財産を遺して。状況は内部の者の犯行を示唆し、若い後妻、金に窮していた長男などが互いに疑心暗鬼の目を向け合う。そんな中、恐るべき第二の事件が…マザー・グースを巧みに組み入れ、独特の不気味さを醸し出す女史十八番の童謡殺人。

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一般的に、「crooked」という単語は、曲がっている ゆがんだ ねじれたといった奇形を意味することや、不正直な ひねくれたなど行為的なことの両方を意味するので、この歌は両方の解釈があります。

谷川俊太郎訳「There was a crooked man」

ひねくれおとこがおりまして
ひねくれみちをあるいてた
ひねくれかさねのきどのそば
ひねくれおかねをひろってね
ひねくれねずみをつかまえた
ひねくれねこをてにいれて
ちいさなひねくれあばらやに
そろってすんだということだ

歪んだ男/There was a crooked man - 英語のうたであそぼ

ポアロのクリスマス

原題は『Hercule Poirot's Christmas』

意外な犯人すぎてまったく気づかなかった。っていうかその犯人アリなの?みたいな。遺伝とか云々する謎解きシーン最高。

聖夜に惨劇は起きた!一族が再会した富豪の屋敷で、偏屈な老当主リーの血みどろの死体が発見される。部屋のドアは中から施錠され、窓も閉ざされているのに、犯人はどうやって侵入したのか?休暇返上で捜査にあたるポアロは被害者の性格に事件の鍵が隠されていると考えるが…クリスマス的趣向に満ちた注目作。

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死が最後にやってくる

原題は『Death Comes As The End』

紀元前2000年のエジプトを舞台にした歴史ミステリ。最初の殺人事件がホラーっぽくて印象に残っている。あと、登場人物の名前が古代エジプト風らしくて異世界感たっぷり。

傲慢で美貌の愛妾ノフレトを連れて族長が帰ってきた。その日から一族のなかには反目や憎しみが。そしてノフレトが崖の小径から謎の転落死を遂げた。これで平和が戻ってくるかに思われたが――紀元前二千年のナイル河畔で起こった恐るべき惨劇! エジプトの古代都市を舞台に華麗な世界が展開する異色ミステリ。

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そして誰もいなくなった

10個のインディアン人形が、1人死ぬたびに1個ずつ減っていく。「Ten Little Indians」の唄の通りに……

元々の原題は『Ten Little Niggers』だが、「黒人」を表す「Nigger」という言葉は差別用語ということで『And Then There Were None』に改題したとか。自分が昔読んだ翻訳本(ハヤカワ・ミステリ文庫)の表紙には『TEN LITTLE NIGGERS』と書かれていた気がする。

イギリス、デヴォン州のインディアン島に、年齢も職業も異なる10人の男女が招かれた。しかし、招待状の差出人でこの島の主でもあるU・N・オーエンは、姿を現さないままだった。やがてその招待状は虚偽のものであることがわかったが、迎えの船が来なくなったため10人は島から出ることができなくなり、完全な孤立状態となってしまう。

不安に包まれた晩餐のさなか、彼らの過去の罪を告発する謎の声が響き渡った。告発された罪は事故とも事件ともつかないものだった。その声は蓄音機からのものとすぐに知れるのだが、(以下略)

そして誰もいなくなった - Wikipedia

最初に10人も登場人物が出てきてぜんぜん覚えられなかった。あっさり死んでしまう1人目の犠牲者のシーンが印象に残ってる。ラスト近くの「熊に抱かれて」の状況はちょっと手抜き感。。。

Ten little Indian boys went out to dine;
(10人のインディアンの少年が食事に出かけた)
One choked his little self and then there were nine.
(ひとりがのどを詰まらせて、9人になった)

Nine little Indian boys sat up very late;
(9人のインディアンの少年がおそくまで起きていた)
One overslept himself and then there were eight.
(一人が寝過ごして、8人になった)

Eight little Indian boys travelling in Devon;
(8人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた)
One said he'd stay there and then there were seven.
(一人がそこに残って7人になった)

Seven little Indian boys chopping up sticks;
(7人のインディアンの少年が薪を割っていた)
One chopped himself in half and then there were six.
(一人が自分を真っ二つに割って、6人になった)

Six little Indian boys playing with a hive;
(6人のインディアンの少年が蜂の巣にいたずらしていた)
A bumblebee stung one and then there were five.
(蜂がひとりを刺して、5人になった)

Five little Indian boys going in for law;
(5人のインディアンの少年が訴訟を起こした)
One got in Chancery and then there were four.
(一人が裁判所にいって、4人になった。)

Four little Indian boys going out to sea,
(4人のインディアンの少年が海に出かけた)
A red herring swallowed one and then there were three.
(一人が燻製のニシンに飲まれ、3人になった。)

Three little Indian boys walking in the zoo;
(3人のインディアンの少年が動物園を歩いていた。)
A big bear hugged one and then there were two.
(大熊が一人を抱きしめ、2人になった。)

Two Little Indian boys sitting in the sun;
(2人のインディアンの少年が日向に座った)
One got frizzled up and then there was one.
(ひとりが陽に焼かれ、一人になった。)

One little Indian boy living all alone;
(一人のインディアンの少年は一人ぼっちで暮らしていた)
He got married, and then there were none.
(彼が結婚し、そして誰もいなくなった)

10人のインディアンとは (ジュウニンノインディアンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科

小説では最後のひとりは「結婚」じゃなくて「首を括る」んだったと思う。

One little Indian boy left all alone;
(1人のインディアンの少年が後に残された、)
He went out and hanged himself and then there were none.
(彼が自分の首を吊り、そして誰もいなくなった。)

10人のインディアンとは (ジュウニンノインディアンとは) [単語記事] - ニコニコ大百科
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女だった。だが、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が……そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆく! 強烈なサスペンスに彩られた最高傑作! 新訳決定版!

出版社からのコメント
時代を超え、言語を超え、世界的人気を誇るアガサ・クリスティー。早川書房ではその全作品の版権を取得しクリスティー文庫より刊行してきましたが、今月より主要作十作品を新訳に改め、リニューアル刊行します。特別企画として期間限定カバーでの刊行。今回は真鍋博氏による1976年4月刊行のハヤカワ・ミステリ文庫版の装画を復刻します!

Amazon.co.jp: そして誰もいなくなった (クリスティー文庫) eBook: アガサ・クリスティー, 青木 久惠, 青木久惠: Kindleストア

参考までに、名作ランキング、名作セレクション。

1982年実施の日本クリスティ・ファンクラブ員の投票によるベストテン
1.「そして誰もいなくなった」
2.「アクロイド殺し」
3.「オリエント急行の殺人」
4.「予告殺人」
5.「ナイルに死す」
6.「カーテン」
7.「ゼロ時間へ」
8.「ABC殺人事件」
9.「葬儀を終えて」
10.「白昼の悪魔」

クリスティの自選10作(順不動)
「そして誰もいなくなった」
「アクロイド殺し」
「オリエント急行の殺人」
「予告殺人」
「火曜クラブ」
「ゼロ時間へ」
「終りなき夜に生まれつく」
「ねじれた家」
「無実はさいなむ」
「動く指」

アガサクリスティの名作ランキングを教えてください。 - Yahoo!知恵袋

『アガサ・クリスティー99の謎』

内容は、ファンのための雑学本なのだが、その中に、アガサ・クリスティ自身が選んだ自作ベスト10が紹介されていた。 1972年に数藤康雄氏の質問に答えて選んだベストテンとのことだが、「その時々の気分で変わる」との注釈つきだそうだ。

クリスティー自選のベストテン|DVD放浪記

Ref.

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