キシリトールガムが歯に良い理由。

  • 砂糖とちがって、キシリトールは虫歯にならない甘味料
  • ガムをかむことにより唾液が分泌され、歯の再石灰化効果を促進

ただし、 Wikipedia によると、キシリトール自体には虫歯予防の効果はないとのこと。

キシリトールは口腔内の細菌による酸の産生がほとんどないことから非う蝕性甘味料として知られる。1976年にSheininらがフィンランドで行った実験をはじめとして、う蝕予防効果があることが証明されている。しかし、キシリトール配合のガムなどによってう蝕が治るということはないとされている。現在の所、キシリトールの再石灰化促進作用は証明されておらず、疑問視されているためである。現状では非う蝕原性であるが抗う蝕性であるとは言えない(ガムをかむことにより分泌される唾液による歯の再石灰化効果はあるものの、それは「キシリトールそのもの」とは関係がない)。

キシリトール - Wikipedia

ロッテのキシリトールガムのWebサイトでも、「キシリトールは唾液の働きを助け」ぐらいの微妙な表現で済ませている。

キシリトールとは?|お口の恋人 ロッテ|ガム|LOTTE XYLITOL
キシリトールとは?|お口の恋人 ロッテ|ガム|LOTTE XYLITOL

日本フィンランドむし歯予防研究会のWebサイトによると、キシリトールはミュータンス菌の働きを邪魔すると書かれている。

特異的なものとして、非酸産生、プラークの質・量の変化、ミュータンス菌への影響が挙げられます。ソルビトールやマルチトールなど多くの糖アルコールは、少ない量ではあるけれども口腔常在菌によって酸を作ります。キシリトールは、口腔常在菌が利用できないため、まったく酸を作りません。プラーク(歯垢)中に存在するショ糖を分解する酵素(シュクラーゼ)の活性を低下させ、プラーク中で酸が出来難くするだけでなく、アンモニア濃度を上げて酸の中和を促進する働きが、キシリトールにはあります。ミュータンス菌への影響は非常にユニークで、この作用を理解するとキシリトールを使いやすくなると思います。

キシリトールのミュータンス菌に及ぼす影響は、キシリトールがミュータンス菌内に取り込まれても代謝経路に入れず、エネルギーを消耗させるという無益回路で説明されています。さらに、キシリトールはミュータンス菌のエネルギーを消耗せせるだけでなく、糖代謝を阻害する効果も証明されています。キシリトールはミュータンス菌のホスホエノールピルビン酸依存ホスホトランスフェラーゼシステム(以下、PTS)により取り込まれるとリン酸化され、キシリトール5リン酸となります。このキシリトール5リン酸は、それ以降の糖代謝系に入ることは無いので排出されます。これが無益回路と言われているものですが、排出されずミュータンス菌内に蓄積されたキシリトール5リン酸は、糖代謝系の酵素であるホスホフルクトキナーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼ、ピルビン酸キナーゼの3種類を阻害します。

キシリトール|キシリトール基礎講座|日本フィンランドむし歯予防研究会(JFSCP)

ただし、この日本フィンランドむし歯予防研究会は、キシリトールの普及をプッシュしている組織なので、そのへんちょっと考慮しておいたほうが良い。

JFSCPの活動指針
1)“むし歯”は予防することが可能な疾患であることを、日本国民に啓発していきます。
2)上記を達成するために、キシリトールを積極的に利用していきます。

展開
1)JFSCPの活動指針を実践できる人的資源の育成
2)自己基盤を繁栄させる努力
3)地域保健に貢献できるシステムの整備
4)キシリトールの普及
5)マスメディアの利用

キシリトール|JFSCPについて|日本フィンランドむし歯予防研究会(JFSCP)

また、キシリトールの濃度がある程度高くないと効果が薄そう。

主にガムなどでキシリトール配合による虫歯予防を謳っている製品があるが、ガムに含まれているキシリトールの比率が90%以上でなければキシリトールの虫歯予防本来の効果は期待できない。一例を挙げれば歯科専売のキシリトールガムは100%~90%となっているがスーパーマーケットやコンビニエンスストアで市販されているキシリトールガムは一部を除いて70~30%が主である。

キシリトール - Wikipedia
キシリトールの効果が期待できる菓子は、ガムかタブレット(錠菓)に限られます。これ以外のお菓子や食品、例えばケーキとかジュース類にキシリトールが入っていても、むし歯予防の効果は期待できません。なぜなら、ガムやタブレット以外でキシリトールが口の中に長く留まるものが無いからです。またこれらのお菓子には、キシリトールができるだけ高濃度(50%以上)入っている事と、砂糖などの発酵性の甘味料が入っていない必要があります。ですから、『シュガーレス』表示を確かめるか、パッケージの成分表示を良く見て、糖類が0gで有ることと、糖質中におけるキシリトールの割合が50%を超えている事を確認してください。

う蝕予防効果を十分に発揮させるためには、高濃度キシリトール配合のガムかタブレットを1日3回3ヵ月以上続ける必要があります。むし歯になりやすい場合には、特に効果的と考えられます。

ミュータンス菌の感染予防には、子供の歯が生える少なくとも3ヶ月前から、母親をはじめとする子供の周囲に居る人たちへのキシリトール使用が望まれます。

キシリトール|キシリトール基礎講座|日本フィンランドむし歯予防研究会(JFSCP)

キシリトールの説明でまぎらわしいものが多いのは、どうやらまだ完全には効果が証明されていないのが原因のよう。

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Posted by NI-Lab. (@nilab)