2013年発行の本。
多極化する世界は多くのジレンマを抱えている。混沌のなか、激化する対立。互いに考え、歩み寄る姿勢がなければ、世界は前に進まない。2012年は世界の大国のトップが次々と交代した。世界の新しいリーダーが出揃ったいまこそが再起動のチャンスなのだ。絶対的な覆権国・指導者がいない「Gゼロ時代」。さまざまな対立軸を取り上げながらこれからの世界の在り方を考える池上彰の人気シリーズ第4弾。世界の中の日本を考えるのは、いま、このときだ。
Amazon.co.jp： 知らないと恥をかく世界の大問題4 日本が対峙する大国の思惑 角川SSC新書: 池上 彰: 本
読んだら頭がすっきりした気がする。新聞やニュースでは断片的すぎてよくわからなかったことが、読みやすい文章でざっとまとめてある。良書。
興味深い点について読書メモを残しておく。
新しいリーダーたちは世界を再起動させることができるか？
⇒ nilog: 新しいリーダーたちは世界を再起動させることができるか？ (2015-07-02)
ユーロ危機の始まりは、ギリシャの財政赤字の発覚が発端。
⇒ nilog: ユーロ危機の始まりは、ギリシャの財政赤字の発覚が発端。 "絶対的な覆権国・指導者がいない「Gゼロ時代」" (2015-07-02)
自己責任を強調するジョージ・W・ブッシュ政権は、リーマン・ブラザーズの破綻を防ぐことができなかった。見殺しにしたといってもいい。これによって世界金融危機を引き起こした。オバマは景気が落ち込んでいく過程で大統領になった。ブッシュの尻拭い。対策を講じてもそれ以上の悪化を止めるのがやっとの状態だった。共和党は何でもかんでも反対をして、議会に提出された法案を成立させないようにし(わずか2%の法案しか成立しなかったとか)、オバマが無能だと思わせようとした。党利党略で政治が動かないのは日本だけではない。
アメリカの人種別人口構成は急激にかわり、ヒスパニック系やアジア系が急増。これらのマイノリティ(少数派)層が2050年までに多数派になり、アメリカは白人がマイノリティの国になる。
クリントン大統領時代に成立した銃規制の法律は、ジョージ・W・ブッシュの時代に消滅。ジョージ・W・ブッシュも、その父親のブッシュも全米ライフル協会(NRA)のメンバー。銃規制は進まない。
レーガン大統領の時代、レーガノミクスで景気は良くなったが巨額の財政赤字を作ってしまった。大統領がブッシュに変わっても財政赤字は減らず。ビル・クリントン時代にようやく赤字が解消された。
アベノミクス3本の矢。金融緩和で、世の中に出回るお金の量を増やす。財政出動で、借金をして公共事業をどんどんやる。成長戦略で、新しい成長産業を見つける。
東日本大震災以降、原子力発電所が止まり、火力発電のため石炭・石油・天然ガスの輸入が激増。日本は貿易赤字に。円をドルに替える動きが進み、円安に。円安になったのはアベノミクスのおかげではない。
TPP。農業を守ろうとすると、日本の工業が衰退する。農業団体は自民党の支持団体。安部首相はつらい立場に。
竹島。日本は徐々に韓国の主権を取り上げながら、最終的には1910年8月に韓国を併合。日本は韓国併合とは関係なく、竹島を日本の領土としたという認識。しかし、韓国から見ると、韓国の領土を奪っていく途中経過だったという認識。第二次大戦後、日本は敗戦国となり、日本が支配していた領土を放棄することに。韓国としては、竹島も韓国のものだから一緒に返還することを主張。しかし、竹島が日本の管轄下にあったのは1905年からであり韓国には含まれない、とアメリカが突っぱねる。
韓国で親日と呼ばれることは政治家として命取り。反日路線を取らざるを得ない。
安倍政権は憲法9条を変えようとしている。憲法を改正するには、国会の両議院の議員の各3分の2以上の賛成が必要。そのため、まずは憲法改正手続きである憲法96条を変えて、両議院の議員の過半数の賛成で済むようにしようとしている。
共産主義勢力は、意外にも資本主義の国の右翼的な体質の人が好き。なぜなら、安定した交渉ができるから。
アフリカ大陸。冷戦時代は旧ソ連とアメリカが独裁者の支援合戦。冷戦が終わると、アフリカ大陸は見捨てられた。そこに日本はODA(政府開発援助)の増額を決定。アフリカ大陸に手を差し伸べる。
中国での大気汚染。中国では工場の排ガス規制が守られない。工場の経営者が共産党幹部なので、省庁や警察は取り締まれない。また、中国のガソリンは質が悪いので、大量に排ガスが出る。日本でも高度成長期時代に、四日市ぜんそくなどが問題になり、マスコミが報道。中国では、言論統制が厳しいため、マスコミは報じない。
ref. Amazon.co.jp： 知らないと恥をかく世界の大問題4 日本が対峙する大国の思惑 角川SSC新書: 池上 彰: 本
tags: book
Posted by NI-Lab. (@nilab)
