世界の少数民族文化図鑑 失われつつある土着民族の伝統的な暮らし (Tribe: Endangered Peoples of the World)

世界の少数民族文化図鑑 失われつつある土着民族の伝統的な暮らし (Tribe: Endangered Peoples of the World)

-Amazon.co.jp: 世界の少数民族文化図鑑―失われつつある土着民族の伝統的な暮らし: ピアーズ ギボン, Piers Gibbon, 福井 正子: 本
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903530426/nilabwiki-22/ref=nosim
--->内容(「BOOK」データベースより)
--->自然と共生する知恵や技術を受け継ぐ土着民族の伝統的な暮らしを讃え、人類とは何かと問いかける―地球上のさまざまな地域では、現在でも約1億5千万人の少数民族が、外部からの激しい干渉や気候変動に抗いながら生活している。独自のアイデンティティと文化に誇りをもって生きる人びとの素顔を、多数の写真とともに紹介する。
--->著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
--->ギボン,ピアーズ
--->イギリスの探検家、著作家。オックスフォード大学で人文科学を学ぶ。土着社会における植物の利用についての研究は、TV番組「ジャングルの旅」(イギリス、Ch4)制作の土台となり、その後も「アマゾンの首狩り族」(Ch5)ほか多数のドキュメンタリー番組に携わる。アマゾンの薬用植物を利用した呪術についての研究や、ペルーのマツェス民族をはじめ、メキシコ、グアテマラ、ベリーズなど多くの地域で人類学調査をし、インターネットやTVを通じ土着民族の文化を精力的に発信している
--->福井 正子
--->京都大学農学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

----
読書メモ

-1971年、タサダイ(Tasaday)という狩猟採集民が紹介される。洞穴でひっそりと暮らしてきたという。実は後に作り物の嘘だということが判明。ただしタサダイの言語は作り物ではなかった。という複雑な話。

-「先進工業社会の人々は、土着民族の文化、とりわけ彼らの子どもたちの世代にとって最善なことは何か、十分理解していると思いがちである」
-「「我われ」は文明化した有益な人間であり、「彼ら」は未開で有害な人間に等しいという解釈がまかり通ってきた」
-「世界中の国家や宗教団体が、「彼ら」の家庭や土着社会から子どもたちを引き離し、施設に送ったり、より良好な新しい家庭へ里子にだすなど、若い世代に土着文化との決別を押しつけてきたのである」

-2008年カナダ政府は国内の先住民に対して公式謝罪
--インディアン寄宿学校制度

-「土着民族の子育て法」
--「ヨーロッパの地域社会に比べ、彼らの社会は、子どもの世話に積極的にかかわり、いろいろな点で「子ども中心」」
--「幼い子どもたちが家の炉火のそばで子犬のようにじゃれあい、大人はそれをたしなめたりしない」
-「(工業化社会では)子どもたちが鋭いナイフや火を使って自由に遊んだり、水辺に勝手に出かけるのを許そうとする親はほとんどいない」
-「最後の木が枯れ、最後の川が毒で汚され、最後の魚を獲りつくしてはじめて、お金は食べられないことを知るだろう」

-「知識を継承していく能力こそ、人類が地上でもっとも優勢な生物種となりえた理由である」

-性的魅力の匂い
--「男子学生の汗まみれのTシャツの匂いを女性たちに嗅いでもらって、快くセクシーな匂いだと感じるか、それとも強い嫌悪感を抱くかの割合を調べたのである」
--「「男性のMHC(主要組織適合複合体:免疫系を同定するマーカーになる)と、あまり似ていないMHC」を示した女性が、その男性のTシャツの匂いを快いと感じる」
--「女性は、遺伝子的に自分と似ていない男性により強く惹かれ、この2人が結ばれると免疫遺伝子の幅がひろがり、健康な子孫をもつ可能性が高まる」

-「中国の纏足は中国人にはひじょうに魅力があるとされてきたが、ほかの社会では、身体損傷だとして非難されてきた」

-「名誉のための殺人」
--「娘が結婚のルールに反逆したときなどに起こる極端な例」
--「国連によると、一族が娘のために準備した結婚を彼女が拒否し、家名が汚されたという理由で年間最低5千人の女性が親族によって殺されている。その女性は、他の男性が好きだったのかもしれないし、結婚相手を単純に一族にあてがわれることに反発したのかもしれない」

-「他の社会と同じように、土着社会の多くも膣外射精や周期法を試みて、いろいろな段階で避妊に成功している」
-「現代の合成避妊薬のピルに使用されている成分の1つはジオスゲニンで、これはメキシコやグアテマラの野生のヤムイモから抽出した物質」

-「ブラジルのインディオの多くは、嬰児殺しを殺人だと考えていない。これ以上生存できそうにない病気の赤ん坊にたいして、一番思いやりのある選択だと思っている。熱帯雨林の孤立した村では、乳幼児の病気は何の方策もないまま死にいたることが多いのである。アマゾンの諸民族は、乳幼児を共同体にうけ入れてもらう儀礼を終えるまでは人間とはみなしていないので、道徳的には人工中絶をするのと同じ感覚だといえる」

-ヌエルのゴーストマリッジ(幽霊婚)
--「父親になる前に死んでしまったとき、彼に近い血縁男性が、彼の名でその妻と結婚することになる。これによって2人の間に生まれた子どもたちは、死んだ男の名を受け継ぎ、祖先にさかのぼる系統をひくものとみなされる」

-「衣装にかんして基本とされている色は、赤、白、黒の3色である。考古学の遺物からも、その3色が人間のつくった最初の顔料であることがわかっている」
-「個人主義が少ない共同体では、人びとは、同じような服を着ることが幸せであり、民族出自なり何らかの集団への忠誠心を自分たちの装う服で表現する」
-「フットボールのサポーターが、自分の応援しているチームカラーの服やユニホームを着て試合に出かけ、ファンクラブや社交グループに所属していることを示すのとほぼ同じである」

-「カメルーン・バカ(Baka)の父親は、幼児をスリング(だっこ帯)で運ぶ。バカ社会では、父親が直接幼児の世話をすることが多く、父と子の関係がひじょうに大切である」

-「(南アフリカの)サン社会では、母親は子どもが4歳になるまで授乳をつづけるのがふつうである。その理由として、幼児にとって母乳のほうがずっと栄養価が高いこと、そして次の子をすぐ妊娠しないように制御していることが考えられる」

-「インドのバグワ(Bagwa)の女性の地位は、未婚女性、既婚女性あるいは母親というように異なる髪型で示される」
-「ヨーロッパでは、短い髪はしばしば服従のしるしであり、新兵は軍隊に入る前に、髪を短く切ることになっている」

----
原書

-Amazon.co.jp: Tribe: Endangered Peoples of the World: Piers Gibbon: 洋書
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1844036332/nilabwiki-22/ref=nosim/
-->内容説明
-->"Tribe" is about identity and belonging and the seemingly infinite ways that our species has found to make sense of the word around us. The book vividly illustrates the spiritual beliefs, concepts of beauty, home building techniques, hunting practices and every significant ritual from birth to death. Examples are drawn from nomadic reindeer hunters, the Sakha and Komi of Siberia, to the Matis of Brazil, the fishermen of the Anuta tribe in the Solomon Islands, the Akie of Tanzania, the Himalayan Adi Tribe and the Mongolian Darhad nomads. "Tribe" is an inspiring, eye-opening and sometimes poignant exploration of some of the least known people of the world.
-->著者について
-->Piers Gibbon studied Human Sciences at Oxford University (Social Anthropology, Human Ecology, Demography). His final year thesis on Plant Use in Tribal Societies became the basis for an hour-long documentary on Channel Four - Jungle Trip. This followed him on a journey from Kew Gardens (where there is already a plant with his name on the label) to the Amazon to study the ayahuasca ceremony with mestizo shamans around Iquitos and Pucallpa. He also stayed with the Matses tribe where he was put through an ordeal with frog poison and took part in a blowgun competition. He has given lectures on his experiences in the Amazon to the London School of Economics, Bath University and ethnobotanical conferences in Australia and Belgium. He has also presented a six-part TV series on historical food and written and narrated over two hundred hours of science, natural history and adventure documentaries for broadcasters worldwide including the BBC, Discovery, Animal Planet and National Geographic. He presented a TV documentary, titled 'Headhunters of the Amazon', about the headshrinking traditions of the Shuar people of Ecuador, which was aired on Channel Five in May 2009, and then the National Geographic worldwide. He has been Sony nominated for his radio interview work and is also a regular moderator at conferences worldwide.

-Amazon.co.jp: Tribe: Endangered Peoples Around the World: Piers Gibbon: 洋書
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/1554077427/nilabwiki-22/ref=nosim/