「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力

「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力

-Amazon.co.jp: 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力: 安西洋之, 中林鉄太郎: 本
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822248631/nilabwiki-22/ref=nosim/

-外国文化についての実例がおもしろい。
-前半はいろいろな文化の実例で、後半は実例にとらわれない汎用的なローカリゼーションマップについての解説。

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読書メモ

-異文化市場のお客さんに製品を売り込んでいくには、その地域のお客さんの思考回路をじっくりと観察するぐらいの気持ちで顧客志向を貫く必要がある

-日本企業の製品ということで「高品質」「安全」「経済的」などの印象を抱いてくれる場合もある
-日本風であることがユーザーの異国趣味を刺激することもある
-しかし逆に「日本」のイメージを出すことが事業拡大のプラスにならない場合もあるし、日本風にこだわるとユーザーが広がらないことも多い

-「日本」をあえて出さないことで成功している商品
--キッコーマンの醤油
---日本食として売り込んだのではない
---米国の食事に合う調味料として醤油を紹介
---醤油に合う米国風レシピを開発しデモンストレーションを行った
---肉に合う醤油
---寿司につける醤油

-「明治時代の初め、来日した西洋人たちは、日本古来の音楽を奇妙なものとして受け止めた。同時に、日本人たちも西洋音楽を美しいとは思わなかった」
-「音楽は「世界共通の言語」と言われるが、本当にそうだろうか。モーツァルトの楽曲を初めて耳にしたときに「素晴らしい!」と感嘆できるのは、それ以前に西洋音階の曲を聴きなれていたという学習の結果なのだ」
-「19世紀後半の印象派絵画への当初の冷淡な反応を思い起こしてみよう。人はなれない、あるいは表現のロジックが不明であると、作品に距離を持とうとする。ロジックに納得し表現に慣れると、賞賛を始める」

-日本で教育を受けた人は紙の上を北にし、鳥瞰的な地図を収まりよく描く
-ヨーロッパでは1枚の紙で出発地から目的地まで描き切れない人が珍しくない
--住所が、町名ではなく、通り名で成立している。目的地までの経路を、通り名の連続で考える。
--「パリの子供たちは道の名前を銅像や記念碑があるところで変わると覚える」

-違った言語には違った感覚の世界がある

-英国発のカジュアル和食チェーン「ワガママ(wagamama)」

-マルちゃん: 「赤いきつね」「緑のたぬき」などで知られる東洋水産のブランド
--アメリカに出稼ぎに来ていた移民が、土産として大量に持ち帰った。プレゼントという行為が媒介。最初の経験にはお金を払っていない。
--メキシコ人はマルちゃんに大量のチリソースをかけて真っ赤にして食べる。サルサバレンチーナというちょい辛のサルサや、ライムを絞ってかけて食べるのがメシキコ風。
--サッカーメキシコ代表の素早いカウンター攻撃を『マルちゃん作戦』と名付けられたことも
--議会が早く終わった時は『議会がマルちゃんした』と言ったり
--ランチボックスに麺だけとかスープだけを持ってきて『Sopa de maruchan(マルちゃんのスープ)』というネーミングで通じたり

-日本人はラーメンを食べるときに塩分や脂分を気にしてスープを残す傾向
--アメリカ人やメキシコ人はラーメン=ヌードルではなくスープという認識があるため、ほとんど残さず完食する
---味が薄めに設定されている

-冷蔵庫
--日本やアジアでは家電
--ヨーロッパでは『冷えるキャビネット』として見る。インテリアの一部。
---ブランドは「憧れ」

-洗濯機
--ヨーロッパでは機能品質が重視される
---ブランドは「信頼感」伝統的なドイツブランド「ミーレ」など

-日本の温水洗浄機(ウォシュレット)の普及率は7割
--これだけ普及するには20年以上の長い時間がかかった
--水をパルス状にして飛ばしている

-公文式
--自分で微分積分をマスターできる
--学校のカリキュラムに依存しない自分の学習法
--自学自習の習慣

-数学ができる・できない
--数学ができれば、文系・理系を選べる
--数学ができないために文系に行かざるを得ない

-学習方法
--スパイラル方式
---それぞれの段階で全体像を見せながらステップを踏むごとに内容のレベルを深めていく
---日本やアメリカで取り入れられている
--マスタリー方式
---足し算なら3桁でも4桁でも自由に操れるように学習する。その上で、はじめて引き算を習う。足し算と引き算にまったく問題がなくなった段階で、掛け算や割り算にステップを移す。基礎力。
---公文の方式

-「ローカリゼーションは、相手のいわばミニマムの期待値をクリアすることなんです。『こいつ、俺たちのこと、何も分かっていない』とは思われないようにする。そうすると、商品第1弾から質の高いフィードバックを得られるわけです」

-「朝起きて、すぐ近くのコンビニエンスストアに出かけるとします。日本人、フランス人、アメリカ人でどう違うと思います?日本人の女性だと、日焼け止めクリームや乳液。でも、フランス人なら香水。アメリカ人であればアイメイク。ちょっと極端かもしれませんが、こういう傾向があるんですよね」

-ミラノには、日本にあるような化粧品専門店はない
--香水と化粧品をほぼ半々くらいに陳列し「香水店」として訴求していることが多い

-日本で香水は化粧品の一部として売られ、売上は全体の2~3%にしかならない

-ヨーロッパは白人がベースの国なので、メラニンが少ない、シミができやすい・シミができるのは自然なこと。なのでファンデーションが必須ではない。

-グローバルブランドにしか使っていないSHISEIDOのロゴ
--日本ではデパート専用で、ヨーロッパにはこのラインしか出していない

-対象者の絞り込みがリサーチ成功の鍵

-「iPhoneを見てください。国や年代は関係ないでしょう。ああいうモノが好きだ、あの世界に浸っていたい、という人たちが群がっているんです」

-デザインはできるだけ簡素にし、言語表現のみをグローバル化
-イラストなどの視覚表現を減らす傾向が最近のグローバルサイトでは多い
-ニュートラルなデザインで国際化し、各地域でイラストを付加してローカライズ
-GoogleやFacebookのトップページ

-ローカリゼーションマップ
--異文化市場の日常生活のロジックの把握
--視点の汎用性
--範囲とスケールの選択が鍵。どこの地点からどのエリアを眺めるか
--個々の機能評価ではなく、全体的価値体系の理解を重視
--文化は静的ではなく動的

-ローカリゼーションマップの目的
--多くの専門家にいちいち聞くことなく、ビジネスの現場で、この市場はこんな風に理解すればいいだろうという勘をもつことで、「余計な不安をとりのぞく」ことにある

-同じ物でも好みの傾向や背景が異なる

-「PND(小型カーナビ)をタイミングよく開発しきれなかった日本企業の失敗」
--「大きな画面のほうがいいはずだ。3次元の地図の方がわかりやすいに決まっている。そう思い込んでいたのではないか」
--「違った文化圏の人が道をどう覚えるか、どのような地理的感覚を持っているのか。また、クルマを運転するとき以外に、地図情報をどの程度欲していたのか。商品コンセプト作りの中に、それらの観点をあまり取り入れていなかったのではないかと思う」

-マニュアルの弱点は、固有の文化について固定化したイメージを持つ恐れがあること
--異文化を語る本は、往々にしてマナー教本になる。マナーとなると自分で打ち破りにくい

-「個々の機能評価より全体的評価」をベースとする「ローカリゼーション全体評価図」
--横軸: コンテクストの強さ。地域文脈の強弱
--縦軸: 市場の規模や性格。ローカルからグローバルへ

-「文化は静的ではなく動的」をベースにした「ローカリゼーション動的図」
--横軸: 変化のスピード
--縦軸: 他分野への波及力など

-地域文化の3つのレイヤー
--風土(気候・地形)
--民俗(言葉・伝統行事): 風土によって影響をうける傾向や習慣。伝統的な行事に使用されるモノや食事
--ライフスタイル(現代のモノとコト): 現代に生きる価値観や生活様式

-カーナビの住所表示
--番地からスタートしてエリアを広げる発想の地域
--日本のように県や市から範囲を狭めていき、最後に番地

-地理把握のロジックのありよう

-nilog: 目的地までの経路を通り名の連続で考える。イタリアの老人が描いた地図。 - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力 / 安西洋之 http://t.co/FPACkA2t (2011-09-15)
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-nilog: 日本人は古いグラフなどを削除してから新しいのを追加。イタリア人は新しいグラフをペーストしてから古いのを削除。ボク、イタリアンタイプ デスね(・∀・) - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力 http://t.co/PVNNwdVt (2011-09-15)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=114185921447997440
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-nilog: ローカリゼーション全体評価図。地域文脈の強弱と市場の規模や性格。 - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力 / 安西洋之 http://t.co/FTNlFrqO (2011-09-16)
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-nilog: ローカリゼーション動的図、文化は静的ではなく動的。変化のスピードと他分野への波及力など。 - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力 / 安西洋之 http://t.co/llGvmu0X (2011-09-16)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=114544546238578689
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-nilog: 地域文化の3つのレイヤー。風土、民俗、ライフスタイル。 - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力 / 安西洋之 http://t.co/2Kw3ZQ2D (2011-09-16)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=114545660207968256
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-nilog: 暗黙的な情報を重視(言葉以外の雰囲気で物事を伝える傾向のある日本人)する、ハイ・コンテクスト文化。言葉での詳細な説明を要求する、ロー・コンテクスト文化。 - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対… http://t.co/Vce6JFOE (2011-09-16)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=114546792577765376
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-nilog: ローカリゼーションの必要性。地域文化と製品文化。 - 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力 / 安西洋之 http://t.co/SZs52JCM (2011-09-16)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=114547714074738688
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-本書は「ローカリゼーションマップ 異文化市場で売るためのモノづくりガイド」の書籍化
--http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20101013/216613/

-Amazon.co.jp: 「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力: 安西洋之, 中林鉄太郎: 本
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822248631/nilabwiki-22/ref=nosim/
--->内容紹介
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--->■新市場開拓をめざすビジネスマン必読
--->キッコーマンの醤油はなぜ、「日本食」ではないのか?
--->公文の教室はなぜ、世界46カ国に進出できたのか?
--->パナソニックはなぜ、腑に落ちない意見に従ったのか?
--->日本のゲームはなぜ、「ぬるい」と言われるのか?
--->スマートフォンに現地化は不要なのか?
--->外国人もウォシュレットで洗ってほしいのか?
--->イタリア人はなぜ、直線で地図を描くのか?
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--->■グローバル市場に分け入るための「ローカリゼーションマップ」を作ろう
--->あなたの会社は、顧客の日常生活の「ロジック」が分かっているか?
--->上から目線の戦略では、海外市場の開拓は失敗に終わる。
--->「えっ、そんなこと言うの?」という驚きと発見を繰り返し、
--->現地の人々の「頭の中」にフィットさせていこう。
--->内容(「BOOK」データベースより)
--->グローバル市場に分け入るための「ローカリゼーションマップ」を作ろう。あなたの会社は、顧客の日常生活の「ロジック」が分かっているか?上から目線の戦略では、海外市場の開拓は失敗に終わる。「えっ、そんなこと言うの?」という驚きと発見を繰り返し、現地の人々の「頭の中」にフィット。
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--->著者について
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--->安西洋之
--->1958年横浜生まれ。上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、イタリアでビジネスプランナーとして独立。現在ミラノ在住。デザインを中心に、さまざまな分野のマーケティングや文化論などを活動領域とする。著書に『ヨーロッパの目 日本の目─文化のリアリティを読み解く』
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--->中林鉄太郎
--->1965年東京生まれ。桑沢デザイン研究所卒業後、黒川雅之建築設計事務所に入社し、プロダクトデザインを担当。10年目に退社し、1997年テツタロウデザイン開設。文具、日用雑貨から住宅設備機器などのデザイン、中小企業へのデザインディレクションも行う。日本大学芸術学部デザイン学科非常勤講師