GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた ドキュメントの活用でオフィスなしでも最大の成果を出すグローバル企業のしくみ

読書メモ


-nilog: ざっと読了。良書。GitLab Handbook の内容は以前からいろいろと聞いていたので知っていたことも多いけど、いろいろと参考になる。GitLabの中の人が監修しているのも安心感がある。 「世界最先端のリモート組織を実現するためのノウハウを、GitLab社が公開している「GitLab Handbook」をベースにしながら解説」 「世界最先端といわれるリモート組織の実態やメリットなどの概要説明」 「世界最先端のリモート組織への移行プロセス、発生する問題への対処法」 「リモート組織が円滑に機能するためのカルチャーの醸成方法」 「パフォーマンスを上げるための人事制度・業務ルール設計」 Amazon.co.jp: GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた ドキュメントの活用でオフィスなしでも最大の成果を出すグローバル企業のしくみ eBook : 千田 和央, 伊藤 俊廷, 佐々木 直晴: 本 (2023-09-20)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=m01&id=111094415402157643
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-DRI (Directly Responsible Individuals)
--最終的な責任者
--意思決定権も与えられる

-相手に前向きな意図を想定する
--思いやりを持つ
--「人間は本能的に、他人の行動から自分にとって不都合なことが発生すると、相手が誠実でなかったり、やる気がなかったり、能力がなかったから問題が起きたと考えてしまいます。「前向きな意図を想定する」とは、そうした考え方をいったん止めて、相手はあなたや状況を良くするために努力しているのだと想定することです」

-Zoomは録画する
--会議に参加できなかったメンバーも後で確認ができる

-議事録をあらかじめ添付
--アジェンダや論点を会議前に整理
--全員が一通り目を通した状態で会議に臨む

-会議をしながらGoogle Docs(同時編集できる)の議事録にリアルタイムで記録
--会議に参加できないメンバーがいつでも確認できるようにする

-「GitLabでは オンライン通話中に家族が映り込むことを歓迎している一面もあります。仕事中に子供が画面に映り込んだり、ペットが膝に乗ってきたりしてもOKです。それをきっかけに従業員同士の親密さを生み出したり、自己開示につながっていったりすることもあります。こうした体験を共有することで、不意に赤ちゃんが泣き出したりした場合などでも、同僚が寛容な気持ちを抱けるようになります」

-インフォーマルコミュニケーション
--インフォーマルコミュニケーションが従業員のパフォーマンスを上げる
--メンタルヘルスの問題を避けるためにインフォーマルコミュニケーションが重要な役割を果たす
--インフォーマルコミュニケーションは単純に量を増やすことも重要
--自分がこのコミュニティの一員として認められており、チームと共にいると思える質も重要
--「新入社員や現在活躍できておらず悩んでいる人など、ここが自分の居場所なのか迷いのあるメンバーに対してこそ、インフォーマルコミュニケーションを通じて親密さを示し、実績を積み重ねていくことで自分の居場所なのだと確信を持ってもらわなくてはならないということでしょう。このあたりは経営者やすでに居場所を得ているベテランにはイメージしづらい部分でもあるため気を付けてください」

-チームや組織に対して、自分の居場所であると感じる感覚を「ビロンギング」という

-意思決定の場をリモートワークに移す
--打ち合わせは必ず議事録を残し、議事録の外で物事が決定しないように徹底する

-チャットツール(Slackなど)のDM(ダイレクトメッセージ)は避ける
--業務に関係するDMだったら、オープンなチャンネルに議論を誘導する
--議論や情報を多くの人が知り、学びが共有され、様々な人たちの知見を集められる

-正論で相手を追い詰めるのではなく、相手が理解できるように接する
--日常的に称賛が行われていたり、ポジティブなメッセージを伝え続けられている関係性があることで、厳しいメッセージを伝えなければならないときにも真摯に受け止めてもらえるようになる

-情報をシェアする
--情報を意図的に公開する
--誰でも目にできる場所で情報が公開されていることで、さまざまな視点からの発見や学習の機会につながる

-たくさんの人の目に付くように感謝を示す
--具体的にどんなことがうれしかったのかが受け取る側に伝わるように、状況や具体例を織り交ぜることが望ましい

-根本的な帰属の誤り (Fundamental attribution error)
--同じ失敗であっても、自分の失敗の場合は状況や環境に原因があったと感じてしまうが、他人の過ちについては当人に原因があったと感じてしまう

-エージェンシー
--自分の責任を果たすために自律的に踏み出す意志のこと
--「GitLabでは、会議への参加が重要でないと感じる場合には、いつでも参加しないという選択ができます。また、必要に応じてミーティング中に他の業務に取り組んでも問題ありません。他の作業をしているメンバーに聞きたいことがある場合には、必要に応じて同僚に声をかけることで回答してもらいます」

-健全な制約に絞る
--他人に制限をかけたり、ルールを追加したりする際には健全な制約に限定する
--ルールや作業が本当に必要なのかを問い続け、妥当なものだけ残し、それ以外は撤廃することを日常的に続ける

-すべてをドキュメント化
--「かすれたインクは鮮明な記憶に勝る」(中国のことわざ)
--質問と説明を何度も繰り返すよりも、ドキュメントを読むほうが効率的
--口頭での約束は解釈が曖昧なまま進んだり、忘れてしまったりすることもある

-他人が費やすことになる時間を考慮する
--必要のない会議を避けるため、まずは会議以外の方法で物事を進められないか検討
---会議が必要な場合には任意参加できるようにする

-Slackなどでたくさんの人に向けて周知するときには、短いメッセージにする
--文章が長すぎる、整理されていない、明瞭でない、専門用語が多い、不正確であるなどの要素があると、多くの人がしっかりと文章の意味を理解しようとはしなくなる

-あらゆるトラブルに対して、必ずしも新しいプロセス(再発防止策)を用意するべきではない
--何か新しいプロセスを追加すると非効率になる

-インクルージョン
--組織における包括性を意味する
--すべての従業員が活躍できる状態

-非同期コミュニケーションを優先する
--可能な限り業務を非同期で行う
--時間的にさまざまな状況にいる人たちが活躍できるようになる
--「GitLabの場合は、勤務時間外にはSlackをオンラインにしたり反応したりするようにプレッシャーをかけるのではなく、ドキュメントを活用して通常の稼働時間で対応できるようにしています」

-GitLabでは、カルチャーを基準として採用したり、ビアテスト(一緒にお酒を飲みたいと思えるか確認するテスト)のように考え方が近く、仲が良くなれる候補者を選んだりしていません

-恥ずかしさのハードルを下げる
--完璧なクオリティを求めない

-スコープクリープ
--一連の小さなイテレーションをまとめてしまうと、成果よりも完璧さを優先させるものに変化してしまう
--コストが肥大化する

-組織の健全性
--「組織は成長するにつれ、情報の透明性に対する意識が希薄化していき、約束していた基準とは異なる意思決定をするようになったり、例外をつくりやすくなってしまいます」

-結論だけではなく、変更の理由を明瞭に記録する
--変更の理由を知りたい人が質問する必要がなくなる
--組織のナレッジの蓄積になる

-「標榜されているルールが実際の職場環境で遵守されていない場合、チームがそうした振る舞いを目にすることで「ルールを守らなくても損をしない」ことを学習してしまいます。その結果、最終的には誰もルールを守らないカルチャーが醸成されてしまいます」

-ローコンテクストコミュニケーションを極める
--解釈性の少ない言葉を選び、文脈となる情報を十分に説明する
--「配慮」が鍵
--まったく違う国で育った10歳の子供にも正確な意図が伝わるようなコミュニケーションをする
--相手がこの文章を受け取ったときにどう感じるであろうかと想像する
--理解できる文章や情報を用いる

-テキストコミュニケーションのヒント
--短い文章を用いる
--意味の薄いフレーズを削る
--「ほとんど」や「大多数」といった表現を、「全体の95%」など具体的な数字に変更する
--「ほぼ」「おおむね」といった曖昧な言葉は論点がぶれるため使わない
--主語・動詞・目的語を明確にする。「誰」が、「何のため」に、「何をする」のかを省略せずに書く (特に日本語では主語が曖昧になることが多いため)

-GitLabでは同じテーマに関して非同期コミュニケーションが三度往復するような場合には、同期ミーティングに移行するように推奨されている

-オンボーディング
--新入社員を受け入れ、定着・戦力化させるための各種プログラムのこと

-心理的安全性は「生ぬるさ」ではない
--どんな発言や行動をしても「無知・無能・邪魔者・ネガティブ」だと扱われないと信じられる

-フィードバックをする際には「SBIモデル」を活用
--状況 (Situation)、振る舞い (Behavior)、影響 (Impact) を組み合わせて伝える

-相手を責めるのではなく、相手を良くしたいという心情を乗せてコミュニケーションする

-成長力の柱 (Growth Potential Pillar)
--適応性
---状況の変化に適応できているか
---自分の役割でさらに成功するために新しいスキルを習得しようとしているか
---プレッシャーの下であっても効果的に新しいことを学ぶ有能さを示しているか
--拡張性
---自分の役割の範囲外の領域にも関心を示しているか
---昇格や違う役割を担うために役立つ新しいスキルの習得に取り組んでいるか
---「ストレッチ」なプロジェクトや計画に自発的に参加しているか
---他のメンバーをコーチング、メンタリング、リードしているか
--一貫性
---一貫して成果を出し続けているか
---コミットメントを最後までやり遂げているか
---頼りになるか
--セルフ・アウェアネス
---フィードバックをルール通りに効果的に受け取っているか
---自分の強みと改善点を認識しているか
---改善すべき領域のギャップを埋めるために取り組んでいるか
---意思決定において、健全な判断を示しているか

-GitLabでは基本的に報酬額を下げることはない
--報酬額を下げることでモチベーションは下がることはあっても上がることはない
--報酬額を下げても財務インパクトは微々たるもの
--マネジメントによるパフォーマンス改善などで対処する
--ダメであることを伝えるのを目的とするのではなく、お互いに納得できるパフォーマンスを発揮するためには何をすれば良いのかについて向き合う

書籍情報


-新刊『GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた』リモート組織でも成果を出すためのドキュメント化手法とは|翔泳社のプレスリリース
--https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000349.000034873.html
-->ソフトウェア開発企業のGitLab社は、世界67カ国以上に従業員2,000名以上が働く組織でありながら、自社オフィスを持たないため、世界最大のリモート組織と呼ばれています。そして、リモートワークのための方法論やカルチャーをドキュメント化し、「GitLab Handbook」として公開しています。
-->
-->本書では、この「GitLab Handbook」をベースにしながら、
-->・世界最先端といわれるリモート組織の実態やメリットなどの概要説明
-->・世界最先端のリモート組織への移行プロセス、発生する問題への対処法
-->・リモート組織が円滑に機能するためのカルチャーの醸成方法
-->・パフォーマンスを上げるための人事制度・業務ルール設計
-->などを紹介した1冊です。
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-->著者の千田和央氏は、GitLab社の取り組みをもとに、人事責任者として自社を完全フルリモート化企業とする取り組みをしていく中で、GitLab社の各種ドキュメントを翻訳し、日本企業に合う形で自社向けのマニュアルを作成してきました。本書では3,000ページ弱と膨大な「GitLab Handbook」の中から、特に重要なポイントについて、各施策の背景まで理解しやすいように整理しています。また、実際にGitLab社で働く、伊藤俊廷氏と佐々木直晴氏が本書の監修を担当しました。
-->GitLab社の効率性を上げ、組織で成果を出すための手法は、リモート組織だけでなく、オフィス中心の環境やハイブリットな環境の組織でも役立ちます。
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-->■目次
-->第1部 リモート組織のメリットを読み解く
-->第1章 世界最大のリモート組織「GitLab」
-->第2章 リモート組織によって得られるメリット
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-->第2部 世界最先端のリモート組織へ移行するためのプロセス
-->第3章 リモート組織を構築するためのプロセス
-->第4章 リモートワークで発生する問題と対策
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-->第3部 GitLabが実践するリモート組織を活性化させるカルチャー醸成法
-->第5章 カルチャーはバリューによって醸成される
-->第6章 コミュニケーションのルール
-->第7章 リモート組織におけるオンボーディングの重要性
-->第8章 心理的安全性の醸成
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-->第4部 GitLabが成果を出すために実践している人事制度や業務ルール
-->第9章 個人のパフォーマンスを引き出す
-->第10章 GitLab Valueに基づいた人事制度
-->第11章 マネージャーの役割とマネジメントを支援するためのしくみ
-->第12章 コンディショニングを実現する
-->第13章 L&Dを活用してパフォーマンスとエンゲージメントを向上させる

-GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた ドキュメントの活用でオフィスなしでも最大の成果を出すグローバル企業のしくみ(千田 和央 伊藤 俊廷 佐々木 直晴)|翔泳社の本
--https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798179421
-->世界最大のリモート組織が実践する徹底したドキュメント化の手法
-->本書では世界最先端のリモート組織を実現するためのノウハウを、GitLab社が公開している「GitLab Handbook」をベースにしながら解説していきます。
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-->GitLab社とは?
-->・世界67カ国以上に従業員2,000名以上
-->・自社オフィスを持たない「世界最大のオールリモートカンパニー」
-->・リモートワークのための方法論やカルチャーを「GitLab Handbook」として公開
-->・リモートワークの方法だけでなく評価、給料の決め方、部門ごとの仕事の進め方など、社員として必要な知識をすべて支えるドキュメント文化が浸透
-->
-->著者は、GitLab社の取り組みをもとに、自社をオフィスを持たない完全フルリモート化企業とする取り組みの中心に立ってきました。
-->その際、GitLab社の各種マニュアルを翻訳し、日本企業に合う形で自社向けのマニュアルを作成。
-->GitLab社のマニュアルは膨大であり、いきなりこれらすべてを読み解くのはハードルが高いため、本書では以下の構成にまとめ、各施策の背景まで理解しやすいように整理しています。
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-->・世界最先端といわれるリモート組織の実態やメリットなどの概要説明
-->・世界最先端のリモート組織への移行プロセス、発生する問題への対処法
-->・リモート組織が円滑に機能するためのカルチャーの醸成方法
-->・パフォーマンスを上げるための人事制度・業務ルール設計
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-->いずれも著者自身が実践してきたものなので、多くの企業にとっても再現性が高いものばかりです。

-Amazon.co.jp: GitLabに学ぶ 世界最先端のリモート組織のつくりかた ドキュメントの活用でオフィスなしでも最大の成果を出すグローバル企業のしくみ eBook : 千田 和央, 伊藤 俊廷, 佐々木 直晴: 本
--https://www.amazon.co.jp/dp/B0CBR9GYF6?tag=nilabwiki-22&linkCode=osi&th=1&psc=1