人間を幸福にしない日本というシステム

人間を幸福にしない日本というシステム

-Amazon.co.jp: 人間を幸福にしない日本というシステム: カレル・ヴァン ウォルフレン, Karel Van Wolferen, 篠原 勝: 本
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-「シカタガナイと言うたびに、あなたは、あなたが口にしている変革の試みは何であれすべて失敗に終わる、と言っている」
-「いちいち騒ぎ立てないのが大人の態度であり、私たち外国人のように文句ばっかり言っているのは、子どもじみていて自分勝手で、やっかい者の最たるものだと考えられている」

-「日本で働いた経験のある外国人経営者から、私は、日本人がよく働くというのは神話にすぎないといつも聞かされている。多くの日本人は、勤務時間が長いことを勤勉だと錯覚している」

-「日本の企業社会はきわめて高度かつ複雑に組織化されていて、そこに独立した企業家が入りこむ余地はほとんどない。しかもこのような組織は意図的につくり上げられてきたものだ」
-「日本では各産業部門で、企業の発展計画の方向を、政府省庁や経済界の管理者たちが望ましいと考える方向に一致させようとする強い強制力が働く」
-「日本の産業は、多くの事実上のカルテルと言うしかないもので、実際には成り立っている」

-「日本のサラリーマンには忠誠を尽くすも尽くさないも、選ぶ余地がない。なぜなら、会社をやめられないからだ」
-「サラリーマンが会社以外のことに自分を強く一体化させる時間も気力もなくなってしまう」「ときには自分の家族にすら自分をしっかりと一体化できない」
-「日本の大企業には(中略)社会を統制するというもう一つの機能がある。日本の大企業は、欧米の企業がしようと思っても決してできない方法で、人々のあいだの秩序を保っている」
-「もし部下たちから、新しい政党の支部設立を手伝いたいから毎日早く帰らせてもらいたい、と言われたら、課長はどんな顔をするか」
-「こんな具合だから、日本にはサラリーマンがつくった政党も、サラリーマンの利益を代表しようという政党も存在しない」

-「新入社員は、ときに、道路をほうきで掃かされたり、冷たい川に漬からされたり、整列して登山させられたり、その他いろいろ、とにかく自尊心を傷つけ、ヘトヘトになるようなことまでさせられる」
-「軍隊の新兵訓練と同様、個人の意志を吹っ飛ばすのに役立つのだ」

-「日本人は生まれながらに「集団志向人間」だという偽りのリアリティ」

-「日本人学者のなかには、中間階級が政治的に抑圧されていることを正当化するための社会学説を編み出す人までいる」
-「このような学者たちは、あたかも日本の人々に選択の自由があったかのように見せかけている」

-「日本のマスコミは官庁をずっと聖域あつかいしているので、頼りにならないのである」
-「何のチェックも受けない官僚の権力は、日本の人々に対してと同様、日本の国土にも損害を与える力がある。そして、悲しいかな、これをやめさせる有効な手だてはない」

-「社会秩序は、日本人の政治に対する考え方のなかでは、当然のようにいいものだと考えられている。それは正義よりもっといいものだと考えられている」
-「現状を維持しつづけることが、おおむね秩序を保つための最善の方法だと思われている」
-「既存秩序とはすなわち官僚独裁主義」
-「官僚の意思決定に政治家の支配が及ぶようにならなくてはいけない」

-「政治家として名を成すには、大金持ちの家系に生まれないかぎり、金権政治の修羅場をくぐらざるをえない」
-「政治家が選挙運動用の資金を集めるにあたって、どこまでが公式に許される範囲かきわめてあいまい」
-「恣意的な官僚支配のために、企業は政治家の取りなしに頼るのを余儀なくされている」

-「日本の独裁主義的な管理者たちが政治を支配する手段として、物事をあいまいなままにしておくことがきわめて役に立っている。そして、検察官は日本の非公式な権力システムの一部として組み込まれている」

-「研修ビザで入国した外国人を、研修生という名目で企業が雇いやすくなる措置も講じられた」
-「外国人の単純労働者は今は必要だが、いらなくなったときは彼らを追い出すことが可能」
-「彼らは合法か? 答えはイエスとノー、すなわちあいまいだ」

-「突然、速度を時速50キロに落とすよう指示する標識に出食わすことがある(中略)ほかの車はたいてい普通のスピードで走りつづける(中略)他車と同じにそれまでの時速80〜100キロを続けることもできる。が、そのときはどこかでネズミ捕りにひっかかって、高い罰金と免許証に減点マークをくらう危険を冒さなければならない」
-「制限速度を決める警察は、これに関しては自分たちが自由に決める権利があると考えて」

-「60年代当時は、まだ「GNP第一主義」の時代だった。日本のGNPが大きくなることは平均的日本人の喜びだった」

-「日本のやり方は新重商主義として知られている」
-「日本人の多くは、重商主義と「貿易立国」は同じことだと思っているので、外国からなぜ責められるのか理由がわからない」

-「野村證券社長の田渕義久は突然怒りを爆発させ、不正だと言われている損失補填のことは内部の者はみんな前から知っていた、大蔵省の暗黙の承認のもとでやっていたことではないか、と広く公衆にぶちまけた。なるほどこうしたやり方で東京の株式市場は操作されていたというわけだ」

-ばら撒かれている?「偽りの情報が組織的かつ狡猾な手口でいたるところにばら散かれている点で、日本は最悪だ」

-「日本の社会政治構造は、この大がかりなぺてんによって大部分成り立っている。あなたとしては、偽りの情報が二つの大きな媒体を介して伝えられていることを知る必要がある。一つは制度。もう一つは思想」

-「多くの人はこの「文化」という言葉で何かが説明されたとたん、議論する力を麻痺させてしまう」
-「世代から世代へと受け継がれてきたものは批判すべきでない、と多くの人が信じてもいる。一国の貴重な遺産である文化を批判することなどできるだろうか?」

-「日本の流通業者のあいだには特殊な契約があり、小規模な小売店はメーカーの言いなりになっていることが多い(とくに家電業界)」

-「アメリカ政府はこの「構造的障害」の存在を指摘したのだが、そのとき日本の新聞の時評子と官庁の代表者たちは「アメリカは日本の文化を変えたがっている」と反論したのだ」

-「望ましからぬ事件にかかわった者は、その全員に多少とも責任があるという考え方が日本に深く浸透している」

-「日本の社会では、真の対立はすぐに表面下に押し込められるので、対立が対立として適切に処理されない」

-「日本の社会はある面でとても貧弱な社会だ。というのも、第三者の勝手な裁定に頼る以外、対立を解消する効果的な手段がないのだから」

-「部落解放同盟は、組織的な脅しによって、部落問題についての素直な議論をタブーにしてきた」