作家の収支

作家の収支

-作家の収支 (幻冬舎新書) : 森 博嗣
--http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4344984021/nilabwiki-22
-->1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である―総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学。

-良書。
--作家の収支についての詳細な解説
--著者自体の考え方や生活などが書かれていて興味深い

読書メモ


-nilog: 森博嗣は作家業を引退してたらしい。 (2016-05-14)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=731336673791877121
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-nilog: 「ときどき、機関車に乗って、自分の庭を巡る」「家族も誰も見向きもしない」 (2016-05-14)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=731336809557331968
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-nilog: 新聞社が取材を申し込んでくることもあるが、顔写真が撮れないとなるとボツになる。「是非お話を伺いたい」と言ってくる割にはその程度の動機。 (2016-05-14)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=731336929883512832
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-著者のプロフィール
--38歳(1996年)に作家デビュー
--デビューして19年(2015年4月時点)
--278冊の本を印刷出版
--総部数は1400万部で、これらの本が稼いだ総額は15億円
--1冊当たり約5万部が売れ、約540万円を稼いだ計算に

-原稿料
--小説雑誌: 原稿用紙1枚に対して4000円〜6000円の原稿料
--漫画雑誌: 1ページに対して6000円〜15000円の原稿料

-小説は1冊も売れなくても印税はもらえる
--印税の支払いシステムは作家と出版社の契約に基づく
--大学などで使われる教科書や技術書では売れた部数が出版社から定期的に報告あってそれに対して印税が支払われる

-印税率
--単行本になる以前に雑誌などで発表された作品では単行本の印税は10
--書き下ろしの場合は単行本の印税は10%、文庫では10%
--最初から文庫で出る場合は、文庫の印税は12%

-『すべてがFになる』の印税
--ノベルスで1400万円
--文庫で4700万円
--執筆に30時間、ゲラ校正などを含むと60時間ほどが制作時間
--時給にすると100万円。ただし、これだけ稼ぎ出すのに20年かかっている
--「ちなみに、この作品では印税率は最初から10%だった。書き下ろしが12%だと知ったのは、他社で初めて単行本を出したときだったが、ノベルスでは10%が慣例だったみたいだ。しかし、他社では書き下ろしが12%でしたが、いかがでしょう、と話し合いをして、ノベルスでも書き下ろしならば12%をいただくことになった。交渉したおかげといえる」

-大多数の書籍が赤字
--一部の売れる本が黒字を出しているから、出版社は成り立っている

-入試問題に使われた場合
--入試問題は機密なので、試験後に知らされる
--著作使用料は無料。ただし、入試問題を公開する際に著作使用料がかかる
--赤本などに乗るとページ数で案分した印税が支払われる

-Web・ダ・ヴィンチでの毎日ブログ連載
--毎日1000文字程度 x 300文字で5000円の原稿料 = 1日の原稿料が15000円ほどに
--1日15分程度の作業量
--ブログは3ヶ月ごとに文庫化され、全部で13冊に。
--1年当たりでは、原稿料540万円、文庫の印税400万円で、年収940万円ほどに。

-常に新作を出すことが作家の仕事の基本
--デビュー作の『すべてがFになる』がコンスタントに売れているのは、次々に本を出したから
--新人はとにかく良い作品を次々発表するしかない。1年に1作とか悠長な創作をしていたら、1作当たってもすぐに忘れ去られてしまう
--発表した作品が、次の仕事の最大の宣伝になる
--最も大事なことは、多作であること、〆切に遅れないこと。

-他の作家の本の解説(文庫本の巻末などにある)
--文章量に関係なく10万円程度の原稿料
--多くの場合、原稿用紙で5〜10枚程度の長さ
--「あるときに、僕はこの解説の原稿料を25万円に引き上げることにした」「25万円もらえれば、必要な時間と労力に見合った仕事だと考えたからだ」

-帯などの推薦文
--一言だけのキャッチコピィ
--原稿料: 2万円〜3万円

-講演料
--著者が自分で決めた: 1時間40万円

-電子書籍の印税
--定価や最終価格の15%〜35%
--印刷書籍とは異なり、定期的に販売数が報告され、実際に売れた部数によって印税が支払われる

-漫画家された場合
--雑誌掲載字の原稿料、単行本になったときの印税を、原作者と漫画家で50:50で分ける場合が多い
--原稿料: 漫画家の比率が高くなる場合もある

-『STAR EGG 星の玉子さま』
--印税をゼロにして本の価格を1500円から1000円に下げた

-インタビュー
--出版社が雑誌社にお願いしている場合もあるが、それは作家には内緒。出版社が雑誌社に金を払っていることが多い(広告費)

-小説がドラマ化された場合
--著作使用料: 1時間の放映に対して50万円程度
--TVも映画もDVDになったりすれば、印税がもらえる
--関連グッズに対しても印税が発生

-『スカイ・クロラ』
--映画化前の6年間: 13万4000部
--映画化後: 22万部
--シリーズは合計1000万部を突破
--値段の高い単行本で売れたため、映画化で得られた印税がほぼ1億円

-『スカイ・クロラ』のパチンコ台 (実現せず)
--著作使用料として500万円ほどの条件

-テレビCM (顔出しなしで)
--文章と直筆の文字で500万円

-デビュー以来、最も意識していることは「新しさ」
--新しさを生み出すこと、新しさを見せること、それが創作者の使命
--「新しさ」はほとんどの場合、周囲から理解されない
--「新しさ」をいかに加工するか
--自分の理屈を信じて突き進めば、そのうちに賛同者がぽつぽつと現れ、いずれ本物の「新しさ」として認められる

書籍情報


-作家の収支 (幻冬舎新書) : 森 博嗣
--http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/4344984021/nilabwiki-22
-->著者は19年間で15億円!
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-->作家は、どれだけ儲かるか?
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-->誰も書かなかった小説家の収入の秘密と謎を、余すところなく開陳した前代未聞の1冊。
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-->・あなたは小説家の文章がいくらで売れる知っているか?
-->・僕は1時間で6000文字(原稿用紙約20枚分)を出力する。
-->・傑作も駄作もエッセィも原稿料はあまり変わらない。
-->・人気作家の人気とは「質」ではなく、あくまで読者の「量」のこと。
-->・印税はふつう10%だが、交渉次第で数%上がる。 ・1冊も売れなくても印税は刷った分だけ支払われる。
-->・これといったヒットもないのに、いつの間にか「Amazon 殿堂入り作家20人」に!
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-->内容(「BOOK」データベースより)
-->1996年38歳のとき僕は小説家になった。作家になる前は国立大学の工学部助教授で、月々の手取りは45万円だった。以来19年間に280冊の本を出したが、いまだミリオンセラの経験はなく一番売れたデビュー作『すべてがFになる』でさえ累計78万部だ。ベストセラ作家と呼ばれたこともあるが、これといった大ヒット作もないから本来ひじょうにマイナな作家である―総発行部数1400万部、総収入15億円。人気作家が印税、原稿料から原作料、その他雑収入まで客観的事実のみを作品ごと赤裸々に明示した、掟破りで驚愕かつ究極の、作家自身による経営学。

-作家の収支 (幻冬舎新書) eBook: 森博嗣: Kindleストア
--http://www.amazon.co.jp/o/ASIN/B018FT9OLI/nilabwiki-22