牛丼一杯の儲けは9円 「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学

牛丼一杯の儲けは9円 「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学

書籍情報


-Amazon.co.jp: 牛丼一杯の儲けは9円―「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学 (幻冬舎新書): 坂口 孝則: 本
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344980700/nilabwiki-22/ref=nosim/
--->内容(「BOOK」データベースより)
--->牛丼屋は安さの限界を追求する。よって並盛り一杯350円の儲けは、およそ9円。だが、利益を伸ばす余地はまだある。材料費が10円下がれば、同じ値段でも儲けは倍になるのだ。かように、どんな業種も仕入れの工夫でさらに利幅を増やすことができる。いってみれば、仕入れほど、売り手と買い手が激しい価格交渉を繰り返し、互いの知恵を戦わせる分野もない。仕入れがわかれば、モノの値段と利益の本質が見える。
--->著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
--->坂口 孝則
--->現役バイヤーかつ調達業務研究家。大学卒業後、メーカーの調達部門に配属される。調達・購買、原価企画を担当。300社のメンバーが集まる調達・購買業界で日本最大の組織「購買ネットワーク会」幹事。メールマガジン「世界一のバイヤーになってみろ!!」執筆者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

-タイトル煽りすぎでたいしたことなさそうだから斜め読みでいいかなーと思ってたけどけっこうおもしろかったので普通に読んでしまった。企業の仕入れ担当(バイヤー)になる前には読んでおきたい1冊。

読書メモ


-ブランドバッグ三万円のうち、利益は600円。

-ダブルソース
--仕入先を2社以上契約しておく
--不作で入手できないことを防ぐため

-仕入れ先が量販店の交渉室に入ると怖い人相の仕入れ担当者たちから囲まれる

-大量に仕入れて単価を安くする
--余ったものは闇ルートへ

-仕入先からの報奨金(販促協賛金)
--買ってくれた量販店にお金をあげる
---コジマの2007年3月期の決算では営業利益が55億円のマイナスだったが110億円の販促協賛金で結果として43億円のプラスに
--ヘルパー(販売援助員)を無料で派遣

-コーヒー1杯には10gの豆

-自動車メーカーが儲からない理由
--外部の仕入原価の上昇
--新車の乱発。それなりに消費者を引き止められるけど利益が上がらない。
---400万台クラブ: 400万台以上生産しているメーカーが強い

-水道局が二ヶ月分まとめて請求するのは人件費を抑えるためも

-利益の分類(ざっくり)
--粗利: 販売価格から仕入れ原価・製造原価を引いたもの
--営業利益: 粗利から販売に関わる費用を差し引いたもの
--経常利益: 営業利益から営業外の費用を差し引いたもの

-日産では購買部門(日産における仕入れ部門)のメンバーは出世できなかったのでゴーンは彼らの社内地位を上げた
--購買部門は設計部門より格下の扱いだった

-不当に買い叩く
--仕入れ会社では全社員の出勤タイムカードを17:30に退社したことにしてサービス残業
--社会的な非難や逮捕の可能性
--脅して仕入れている企業の商品は買ってもらえない
---噂を聞きつけた消費者が敬遠していく

-日本は中間流通業者が多い
--直接メーカーと取引することで安く買う

-個人でもスーパーマーケットではなく卸売市場で買う

-感覚の鈍さを利用して材料の量を減らす
--1%程度の増減はわからない
--飲んでいる時間に応じて料理や酒の量、水割りの焼酎の量を減らしている居酒屋がある
--有名メーカーのお菓子でもまず考慮されるのは量を減らすこと

-あるスナックでは高級ウイスキーの中身が安物に入れ替えられている
--はずしたキャップを接着剤で止める
--酔っ払った客にやってるので気づかない

-闇ルート
--「独自ルートで仕入れたため安価で提供」と謳うディスカウントショップ
--かつての100円ショップの商品は倒産便乗で買い上げた品々
--試乗車が新車同然といって中古車販売店に流出
--アメリカのゴミ箱から拾ってきた古着

-商品の出所が気になる
--海外で子どもを低賃金で働かせているようなメーカーの商品は買いたくないという心理

-廃品回収業者
--何でも買いとるといっておいて、実際には廃棄料を取る業者

-商品のことを知らない相手に高く売りつける方法
--みだしなみや対応をしっかりする
--商品に関する相手の知識レベルを知る
--商品のメリットだけでなくデメリットを紹介する
--大手企業をはじめとする他の客も同じような仕入れをしていると安心させる
--価格については「こういうものだ」と言い切る
--交渉の最後ではあえて引いて相手に考える時間を与える。こちらはどうしても売りたいわけではない、とアピールする
--最後に相手を思いやったような発言をして席を立つ

-人は、売りたい人からは買いたくない

-経済学で最初に学ぶ基礎理論
--市場には無数の買い手と売り手が存在し、かつお互いがすべての情報を持っている。ゆえに、価格はその二者の需要と供給が均衡するところで決定される
---現実にはそんなことはない。買い手は特定の売り手としか付き合わないため市場価格を把握していない

-普通の企業では名刺は100枚入り1000円で作っていた。大企業では400円程度。
--今やインターネット上の名刺販売サイトが乱立して、低価格でできることが世間に知られるように

-市場価格はネットで調べられる

-安く提示しておいたあとで高い金額にすりかえる
--極小の文字で「500個未満の発注の場合は倍額」とか
---この手の業者が後を絶たない

-過剰性能
--作り手のしての醍醐味
--日本の商品の品質を高く保っているという良い部分もある
--過剰性能は部品も高価
--「消費者が極寒地にその商品を持っていったらどうしよう。異常に温度が上昇する部屋に入ってしまったらどうしよう。などなどと考えることによって、その例外のために全消費者に提供する商品すべてを高価なものに仕上げてしまいます」
--客がわかる価値を最大化しているか?

-ネジを仕入れていたとき
--本数を調べてみたら足りない。数えないだろう、と仕入先が減らしていた可能性

-「バブル経済に浮かれていた頃、その部長が地方に出張するたびに、仕入れ先から「女はどうしますか?」と訊かれていたそうです。もちろん、その便宜の見返りに、仕入れ先は多額の受注を勝ち取っていました」
-現在でも色仕掛けの営業活動がさかんな業界も。営業担当者が女性ばかり。ミニスカートで営業に来る

-営業担当者向けの本がおもしろい
--共通して書かれていることは「客に対して最初のハードルはうんと低くしておけ」
--最初は赤字でも無料でも客を呼び込んで、檻に入れ、吸い込むように自分たちのフィールドに誘い込んでいく
---客は離れられなくなり、単なる客ではなく「優良顧客」に
---CDショップでもらう無料のサンプルCDがきっかけでバンドのファンに

-目玉商品のついでに買わせる
--特売商品の隣には利益率の高い商品
--ついでにまとめて買わせることで販売コスト削減
--レジに商品を持っていったときが買い手の財布の紐が最も緩む瞬間
---レジまわりには「ついでに」買いたくなる商品がならんでいる
---最初にハードルを低くしておいて、支払い時には見込み以上の金を払わせる典型例

-「売り手は初回にはうんと低い金額で売ることで、買い手を安心させようとする」
-「買い手を安心させたあとに、他のものをたくさん売って儲けようとする」
--逆に言えばこういうことに気づかないことが落とし穴

-アルミ電解コンデンサー交換はハンダごてでハンダ部を溶かして交換するだけ
--これだけの作業なのに大型機器だと数百万円を請求される
---他社に頼むと保証対象外になるといわれる。実態はどこでもできる作業
---リスクをどこまでとるかという話

-エレベータの点検事業
--仕入先の関係会社か子会社が実施

-nilog: タイトル煽りすぎでたいしたことなさそうだから斜め読みでいいかなーと思ってたけどけっこうおもしろかったので普通に読んでしまった。企業の仕入れ担当(バイヤー)になる前には読んでおきたい1冊。 - 牛丼一杯の儲けは9円 「利益」と「仕入れ」の… http://t.co/ybHlqhdt (2012-01-17)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=159116095658274818
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-nilog: ブランドバッグ三万円の内訳。利益は600円。 - 牛丼一杯の儲けは9円 「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学 http://t.co/RW31UwID (2012-01-17)
--http://www.nilab.info/nilog/?type=twitter&id=159117250056568832
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-nilog: ダースベイダーのお面を被った社員が登場。技術の先進性で有名なベンチャー企業が品質に関してだめだめだったエピソード。 - 牛丼一杯の儲けは9円 「利益」と「仕入れ」の仁義なき経済学 http://t.co/gQ4ke4SM (2012-01-18)
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