いちばんやさしいアジャイル開発の教本

読書メモ


-「ユーザーも気づいていないサービス利用への動機を発見する=インサイト」
--「「ヘルシーなものが食べたい」といっているのに、実際には真逆の行動をとる。これは嘘をついているわけではなく、ユーザー自身も自分が本当に欲しいものが何なのか気づいていないのです」

-「ここで大切にしているスピードは「ゴールにたどり着くまでの速さ」というよりは、「起こった出来事に対してすばやく反応し、意思決定する」という臨機応変さです」

-「自分が伝えたつもりになっていたことが相手には全然伝わっていないというのはよくあることです。人間は他者の考えや前提知識を完全に理解することはできません。そのため、このコミュニケーションの不確実性はどこでも発生します」

-「多くの場合、不要な機能については開発してから不要だと気づくのです」
-「こういった贅肉は開発にムダな労力がかかるうえに、保守運用コストが発生します。これにより、プロダクトの競争力は失われていきます」

-「効果が薄いプロセスの撤廃を提案しても「たしかに時間はかかっている。けれどもこれまでやってきたし、必要なプロセスなんだ」という話になることが想像できます。一度始めてしまったことを止めるためには、大きな労力が必要となるのです」

-「バリューストリームマッピングとは、開発からリリースまでの工程(バリューストリーム)を可視化し、その工程ごとに問題点などをひもづけていく作業のこと」

-「プロセスの贅肉を見える化するためには、バリューストリームマッピングという方法が有効です。開発が始まってからユーザーの手に届けられるまでのプロセスをすべて洗い出してみましょう。すると、待ち時間が多いところや、いつも決まって手戻りが発生する箇所が見つけられるでしょう」

-「遅延する可能性をスケジュールに加味しない、実際に遅れが発生してもリリース予定の見直しをしないといった事象はウォーターフォール自体の課題ではありませんが、後工程が圧縮されていきやすいという構造上の課題があります」

-「開発を進めるなかでも対話は重要です。ある機能を開発する際に、担当者はコーディングが終わったら完了だと考えており、ほかのメンバーは検証まで終わっていたら完了だと考えている。そしてマネージャーはその機能がサービス上で稼働している状態になってようやく完了だと考えている。このような認識の齟齬は日常的に発生します」

-「YouTubeを使ったことがあるという人は多いでしょう。しかし、この世界最大の動画共有サイトがもともとはデート相手を探すマッチングサービスだったということをご存知の方はあまりいないと思います。デートとは関係のないユーザーが増加し、その利用傾向に合わせてソフトウェアの方向性を転換した(ピボットした)ことが功を奏した、世界でも有数のピボット成功事例です。これが当初のサービスにこだわってユーザーに「正しい」使い方を共有していたとしたら、果たして今日のYouTubeの成功はあったのでしょうか」

書籍情報


-いちばんやさしいアジャイル開発の教本 人気講師が教えるDXを支える開発手法 「いちばんやさしい教本」シリーズ | 市谷聡啓, 新井剛, 小田中育生 | 工学 | Kindleストア | Amazon
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-->DX時代を迎え、成長しつづけるIT市場のスピードに合わせてビジネスも変革を迫られる昨今、「アジャイル開発」が注目されています。アジャイル開発は、短期間でリリースして改善するサイクルを繰り返すことでニーズを的確にとらえ、すばやくプロダクトを送り出すための開発手法です。
-->本書は、ソフトウェア開発の現場でアジャイル開発を実践してきた著者陣が、その知見を丁寧にまとめたものです。どう実践してよいかわからないという人でも読んだその日から自分の現場で取り組めるように、具体的なやり方が豊富な図とともに解説されているのが特徴です。
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-->●本書はこんな人におすすめです。
-->アジャイル開発を実践したいエンジニア
-->DXを推進したい経営者
-->アジャイル開発を業務に活かしたい企画担当者など非エンジニア
-->過去にアジャイル開発に取り組んだが挫折した人
-->具体的なプラクティスや実践ノウハウを知りたい人