絶対音感

絶対音感

-Amazon.co.jp: 絶対音感 (新潮文庫): 最相 葉月: 本
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4101482233/nilabwiki-22/ref=nosim/
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--->「絶対音感」とは、ある音を聞いたときに、ほかの音と比べなくてもラやドといった音名が瞬時にわかる能力である。これがあると、一度曲を聴いただけで楽器を弾いたり楽譜に書いたりでき、小鳥のさえずりや救急車のサイレンの音程がわかったりもする。過去の偉大な音楽家のベートーベンやモーツァルトにはあったとされ、一般人に計り知れない能力として、天才音楽家の条件のように言われることが多い。
--->しかし、「そもそも曖昧であるはずの人間の感覚が“絶対”とは何なのか。そんな疑問と語感の強さに引かれ、翌日辞典を開いたその瞬間にはもう、その言葉のとらわれの身」となり、著者は絶対音感という神話を解き明かそうと試みる。五嶋みどり、千住真理子、矢野顕子、大西順子、笈田敏夫ら絶対音感をもつ音楽家を取材し、その特異な世界を紹介しつつ、脳科学や神経科学の専門家たちにあたって分析を試みる。音楽と科学の間を行き交いながら、絶対音感にも仮性と真性があるなど、「絶対音感=万能」という安易な幻想と誤解を一枚一枚引きはがしてゆく。
--->過剰な表現や構成力の不足はあるものの、本書は第4回「週刊ポスト」「SAPIO」21世紀国際ノンフィクション大賞を受賞し、著者の出世作となった。裏を返せば、それだけこのテーマがおもしろい証拠だろう。一般人とは無縁の音楽家たちの深遠な世界が興味深い。また、五線譜のエンボスを施したオフホワイトの装丁が上品で好ましい。(齋藤聡海) --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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--->商品の説明
--->第4回(1997年) 小学館ノンフィクション大賞受賞
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--->メタローグ
--->選ばれた人間のみが神から与えられる才能<絶対音感>。巻頭、パステルナークとスクリャービンの間に交わされる印象的なやり取りから読者を引き込んで離さないこの本は、音楽家や脳科学者への綿密な取材を通して、はかない人間に刻まれた<絶対>の謎に迫る。だがそこで証されていくのは早期教育で身につく、言わば刷り込み可能なものとしての<絶対音感>、音と感動との解き明かせぬ関係性、そして日本の音楽教育の歪み…… 最後に描かれる天才ヴァイオリニスト五嶋みどり一家の葛藤は、〈絶対〉と〈才能〉を背負う者の栄光と悲惨を描き印象的だが、やや浪花節に堕するのが玉に瑕か。(守屋淳)
--->『ことし読む本いち押しガイド1999』 Copyright© メタローグ. All rights reserved.
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--->出版社 / 著者からの内容紹介
--->小鳥のさえずりも救急車のサイレンも「ドレミ」で聴こえる人がいる。音楽家を目指す人なら誰でもが欲しがるという「絶対音感」。その正体に迫るべく、五嶋みどり、五嶋龍、千住真理子、園田高弘、大友直人、佐渡裕、矢野顕子、大西順子…など一流音楽家・科学者ら300人以上に証言を求め、この能力をめぐる驚くべき事実を明らかにしていく。音楽業界はもとより、多方面から大反響を呼んだベストセラー作品の文庫化。第4回小学館ノンフィクション大賞受賞作。解説・小沼純一
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--->内容(「BOOK」データベースより)
--->「絶対音感」とは音楽家に必須の能力なのか?それは音楽に何をもたらすのか―一流音楽家、科学者ら200人以上に証言を求め、驚くべき事実を明らかにする。音楽の本質を探る、ベストセラーノンフィクションの文庫決定版。
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--->内容(「MARC」データベースより)
--->小鳥のさえずりも救急車のサイレンも「ドレミ」で聴こえる、和音が鳴ると目の前に特定の色が浮かぶ…そんな、全く別の音世界に生きている人たちがいる。音楽を志す者なら誰もが憧れる「絶対音感」の謎に迫る。 --このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。
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--->出版社からのコメント
--->小鳥のさえずりも救急車のサイレンも「ドレミ」で聴こえる人がいる。五嶋みどり、五嶋龍、千住真理子、園田高弘、大友直人、佐渡裕、矢野顕子、大西順子…など一流音楽家と科学者の証言から「絶対音感」の正体に迫る。 --このテキストは、 文庫 版に関連付けられています。
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--->著者からのコメント
--->最相葉月です。
--->『絶対音感』がこのたび新潮文庫になりました。
--->本書は音楽の才能といわれる絶対音感がいかなる能力であるのか、200人以上の音楽家、脳科学者、心理学者、音楽教育関係者にインタビュー、取材した情報をもとに、社会的科学的歴史的視点から多角的に検証したノンフィクションです。絶対音感を称揚したり否定したりするものではありません。
--->このたびの再文庫化にあたっては、これまでと装いを新たにした部分がたくさんあります。
--->ピアニスト・文筆家の青柳いづみこさんに音楽家の視点からの解説をお願いしたほか、最新の脳科学論文を確認して情報をできるだけ新しいものに修正、バーンスタインのヤング・ピープルズ・コンサートの翻訳を柴田元幸さんのお弟子さんである小澤英実さんに依頼、クラフト・エヴィング商会の吉田篤弘・浩美さんには新たなブック・デザインをお願いし、私自身も読みやすさを考えて文章にかなり手を入れました。
--->私の大切な一冊。ぜひご一読いただけるとうれしいです。

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読書メモ

-絶対音感
--パーフェクト・ピッチ
--音を聴いた瞬間に、その音の高さをそれに対応した音名の記憶があるために、その音にドレミなどの音名をラベリングできること

-絶対音感のランク
--生活音など何の音でもわかる
--楽器ならわかる
--基本周波数や倍音構造がはっきりしている楽器ならわかる
--白鍵だけだとわかるが、黒鍵が混ざるとわかりにくい人も
--どんなレッスンをどんな順序で行なっていたか、レッスンを最後まで修了したか、自然に身につけたかなど、身につけた際の状況や年齢に起因する

-絶対音感は自分の記憶との照合
--記憶にないものはわからない

-絶対音感を持っている人
--音の高さには敏感なのに、音色には無頓着な人も
--音程が狂っていると気持ち悪いという感覚
---人によってレベルがちがう

-矢野顕子
--子どもの頃、指の形を矯正するために鍵盤にカミソリをたててピアノの練習をした

-多くの日本人が絶対音感を持っているが、音楽家としてはみんな同じで個性がない
--大半の日本人の演奏が大量生産的
--西洋音楽をとり入れて100年あまりでしかない日本人が、これほど絶対音感を持ち、海外のコンクールで活躍している

-早期教育の影響

-遺伝的バックグラウンドが必要?

-園田清秀・園田高弘のエピソード
--ピアノは単旋律ではなくハーモニーを奏でる楽器
---単音だけではただの振動
---和音の響きや色合いを知覚することが大切
--大分で、小学校二年男子のクラスに基本和音を覚えさせる実験
---一学期後にはクラスの1割が完全にマスター
---東京でピアノを習う子どもでも弾けない曲を、大分の子どもがどんどん弾きこなす
---音の強弱やリズム感覚も重要視

-佐々木幸徳のエピソード
--著書『耳をひらく』
--分離唱
--音感教育法を体系立てる
--いつしか指導法が精神論にまで変化
---「耳は精神に左右される」「和音を聴く態度が悪いのは根性が悪い」

-「脳科学の時代」プロジェクト
--1997年、日本で今後20年間で2兆円の予算を投入するプロジェクト
--脳を知る、脳を守る、脳を創る
--脳の仕組みの解明
--脳ブーム

-通常では考えられないほどの大音量(140デシベル)の実験
--死んだ人の耳を使う

-絶対音感を持つピアニストが調律を気に入らないために、客を延々と待たせて何度も調律を繰り返す

-固定ド、移動ド
-階名唱法、音名唱法

-バイオリニスト五嶋みどりの母
--「アメリカはカーネギーホールはじめ主要なホールのスタインウェイピアノの基準音は皆、442ヘルツです。もし440ヘルツで絶対音感のついた日本の子どもたちがアメリカに来たらどうなるのでしょう」
--「みどりが10歳になった翌年の2月に渡米して、ジュリアード音楽院に通い始めてからは、440、442、443ヘルツと、3台のピアノを用意して練習させました」

-涙は脳から出るのではない

-感情情報処理
--人間ならばこう感じるだろうという情報をシステムに組み込むことで快適な機会環境をつくろうとする手法

-感性工学

-「さっき演奏した曲を思い出してみよう。あの西部劇みたいな曲。でも、この曲が西部の荒野を表しているはずがないんだ。だってそもそもこれを書いたのは、西部の荒野のことなんて、一度も聞いたことなかった人だからね。イタリアのロッシーニという人です。彼の曲を聴いて、馬が走っているところとか、カウボーイとか西部劇なんてものを表していると思ってしまうのは、僕たちがこれまで、この曲をそうした映画やテレビ番組で聴いてきたからなんだ」

-絶対音感はありますか? 著者は1996年末を締め切りにして100人の音楽家に質問状を送った
--回収率は半分だった
--白紙無記名で返送されてきたもの
--あなたは何もわかってないと手紙を添える人も