自動車絶望工場 ある季節工の手記

自動車絶望工場 ある季節工の手記

-自動車絶望工場 ある季節工の手記
--http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4061830961/nilabwiki-22/ref=nosim/
--鎌田 慧 著
--->出版社/著者からの内容紹介
--->働く喜びって、なんだろう。毎日、絶望的に続くベルトコンベア作業の苛酷さ。現代の矛盾の集中的表現としての自動車は、労働の無内容さと人間の解体を満載し、排気ガス、石油資源などの諸問題を前にして、いま大転換を迫られている。自ら季節工として働いた体験を、生きいきと再現した傑作ルポタージュ。

-トヨタ自動車での期間工(季節工)の工場労働の記録(1972年9月〜1973年5月)。
--著者自らが季節工をした記録というすごいルポ。
--過酷な労働風景を臨場感ある描写で表現。季節工たちの会話がたくさん。

-冒頭からトヨタ批判っぽい書き出しをしているので、トヨタ批判が目的になっている雰囲気が前面に出ているのが残念。
--もうちょっと中立的な書き方をしつつ、つらい労働について語ってくれると良かったのになぁ。
--そこまでしてトヨタで働かなくてもいいのにという気はする。
--この本を読んで思いだした。トヨタから帰っていく出稼ぎ労働者が「トヨタはヒドいところだ」と言って帰っていく人を見たという話を聞いたことがある。

-ベルトコンベア作業
--作業のしすぎで?食堂のテーブルの上に置いたお盆がゆっくり流れてみえるほど。

-さまざまな事故
--70km/hで回転している数十キロのプロペラシャフトが飛び出して労働者を打ち倒す(死亡事故)
--早いスピードで作業させられる。インパクトが飛んできて頭に当たる「昼でも星が見える」
--ドリルが折れ飛んで労働者の首に突き刺さる
--感電事故

-たいくつな単調作業。仕事中に考えるのは「あと何時間で終わるか」ということばかり。

-トイレの落書き「トヨタマンは人間ではない。機械にすぎない」

-作業者がどうなっても生産を上げる。

-労働期間が終わる前に多くの季節工が脱落していく(辞めていく)

-労災死亡者の扱い方

-役に立たない労働組合
--工長・組長が1年交代。クビをかけてでもやろうという人はいない。

-「故郷へ帰るあなたへ」というチラシ
--故郷の友達もトヨタで働くように勧誘すれば3000円(当時の金額)もらえる
--「3000円もらって一生怨まれるんじゃ割に合わない」

-トヨタ病院

-トヨタと自衛隊のつながり
--トヨタが兵器企業化
--産軍複合体

-72年に新卒採用が3200人。1年後の従業員数が338人しか増えていない?(221ページ)

-傷病を受けても出勤するのがトヨタの習慣。

-「勤務と家事の両立は困難と思われるので、後進に道を譲ってほしい」(昭和32年「20年のあゆみ」)
--女子従業員の平均年齢は21.3歳

-トヨタ式合理化の歴史

-「首切りはしない」という労使間協定の覚書が無効に
--署名をわざとしなかった?

-トヨタにおける提案制度
--提案件数ノルマ

-労働時間
--人工時間
--機械時間

-省いて支障のない作業をなくす

-モノを作るタクト(時間)=稼働時間÷1日当たりの必要数量
--設備能力と人間によってタクトが決まるわけじゃない

-工場建設の土地誘致
--北九州八幡村の官営製鉄所や東北新幹線の用地買収に似ている

-悲しみの市(まち)・豊田

-工場でのロボット導入
--疲れを知らないロボットに合わせて働かなくてはいけない